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銀剣士の憂鬱
第4章 青白い満月の輝く夜
「サラ...?」
あまり名前で呼ばれない上に、明らかに年下の女に呼び捨てにされて、自分は勝手に“チェチェ”と呼んだにも関わらず、思わずサラはおもいっきり不機嫌な顔をした。
その様子を察知したのかチェチェはおずおずと言った。
「“サラ”ではダメですか...?
では...“姉様”と呼ばせて下さい。
姉がいたので、私も落ち着きます。」
(姉様!?...)
それも複雑だったが、
もう気にせず話を続けた。
「話を戻す。
それで、どうして一人で森にいた?」
「あっ...それは...その...
この森でどうしても成すべきことがあり、おりました。魔力もその時に使いきったのです。」
サラはやはりうさんくさい女だと思いつつも、とりあえず安全な町まで行ったら撒いてやろうと、それ以上深くは聞かなかった。
しかし、その後何度サラが撒こうとしても、なぜかチェチェは神業のごとく追いつき、離れることはなかった。
さらに魔力が回復した後のチェチェは強く、
全く邪魔にはならなかった。
サラは初めはチェチェとの旅が嫌でしょうがなかった。
(町や村に行く度に銀剣士に女ができた。と囁かれたり、美少女であるチェチェがちやほやされたり、チェチェに嫉妬した娘達に時々暴言を吐かれたり、チェチェが“姉様”と呼ぶのを聞いた町の人に銀剣士はオカマだと噂されたりしたため。)
しかし...
そのうちにチェチェの強さを心強く感じ、チェチェの世間知らずで純粋なところに癒されることもあり、サラは次第にチェチェとの旅が楽しくなっていった。