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銀剣士の憂鬱
第17章 本当の姿
サラは旅の支度を済ませると家の使用人に確認して、クリスの部屋へと向かった。
「全くあのクソ女、人のこと突き飛ばしやがって!!誰が面倒見てやったと思ってんだっ!」
「こっちもだっ!ちょっと顔が良かったから下手に出てやったっていうのに。
全く意味分かんねぇ。気があるふりしてきたかと思いきや、なんだっ!?あの態度?
本当、意味分かんねぇ。
結局なんだ?あれは?その気があるかと見せかけて、結局女同士がいいってやつか。
ド変態女がっ!
あ~気が済まねぇ。
こうなったら、あの剣士だけでもこき使えねぇかな。」
「さっきは気使って、ゆるい催眠剤にしてやったけど、今度は超強力なやつ盛ってやるよ。」
二人はよほど腹を立てていたのか声が外に漏れているにも関わらず、大声で怒鳴り散らしていた。
(...本当にあの二人なのか?
別人のようだな。)
サラはそんな二人のやりとりを聞いて、どう対処しようかとしばし考えていたが、ノックして部屋へと入っていった。
「今は忙しいっ!下がれ!」
クリスはそっぽを向いて煙草をふかしていたが、ランスはサラに気づいて顔色を変えた。
「サラさん...」
「!!!」
ランスの声にびっくりしてクリスも振り返ると同じく顔色を変えた。
「...どうも私もチェチェもお二人に迷惑をかけてしまったようで、申し訳なかった。
チェチェの分まで謝っておこう。
それから、やはり今日発たせてもらった方が良さそうだ。
これは礼の品だ。ここに置いておく。
怪我を治していただいて、何日もやっかいになったことには本当に感謝している。
だが、もう今後は一切私にもチェチェにも関わらないでいただきたい。」
サラは最後に鋭く睨み付けた。
「ああ、それからチェチェを知らないか?」
「...身支度をして、さっき屋敷を出て行きました。」
「分かった。では、後を追おう。
世話になったな。」
バタンッ
サラがいなくなってもクリスとランスはしばらく固まっていた。