この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
銀剣士の憂鬱
第17章 本当の姿

(サラが去っていく...
離れてしまう...
イヤだっ)
チェチェはすごい早さで飛び立つと木の間をスルスルとくぐり抜け、あっという間にサラに追い付いた。
「来るなっ!」
あまりの早さにうろたえて逃げようとするサラを触手で掴み上げた。
馬はそのまま走り去ってしまった。
「ぐっ!
なんだよ。結局油断させといて喰う気だったんじゃないか。
喰うなら早く喰えば良かったんだっ!
さんざん人の気持ち弄びやがって。
ふざけるなっ!!」
サラはチェチェに向かって怒鳴り付けながらも泣いていた。
サラは何が悲しいのかはっきり分からなかった。ただ、チェチェに裏切られたのだということに腹を立てているのか。悲しいのか分からなかった。
(サラが泣いてる...)
チェチェは触手の力を緩めてサラを離した。
サラは泣きながらも剣を構えるとチェチェを睨み付けながら、後ずさりをしていき、やがて走り去っていった。
チェチェはどうすることもできず、しばらくその場を動けずにいた。

