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銀剣士の憂鬱
第17章 本当の姿

(まずいな。
だいぶ暗くなった。
早くチェチェを探さないと...)
サラは馬に乗って、森の中をさまよっていた。
やがて、森の中心部まで進むと大きな湖があり、その側で座り込むチェチェを見つけた。
「良かった。チェチェ...」
馬から降りて、声をかけようとしたがどうも様子がおかしい。
立ち上がったチェチェから今まで感じたことのないような気配が立ち込めていた。
チェチェは徐々にその姿を変えていった。
身体はどんどん大きく細くなり、竜のような姿かと思いきや身体には固そうな甲殻をもち、その隙間からはうねうねと触手のような物が何本か蠢いている。
それはサラが今まで見たことのないような魔物だった。
(この姿は本当に久しぶりだな...
サラと一緒にいるときは一度も戻ったことがなかった。
...この気配は!?
まさか!?)
チェチェは変身している間は全く気づくことができなかったが、変身が終わると触手がいつも感じていた気配を捉えた。
「サラ!?」
「チェチェ...」
サラは目を見開いてチェチェの姿を見ていた。
唖然として動けずにいた。
(チェチェが...魔物?
あんなに長い間一緒にいたのに私は気付かなかったのか...)
クリスやランスに何を言われても、なんとも思わなかったが、チェチェの本当の姿を見てサラはひどく混乱した。
信じていた者に裏切られた気がしてショックだったのだ。
「お前は...私のことを騙してたのか!?
どうして、どうしてそんなこと!?」
サラはチェチェとのことをいろいろ思い返していた。
(私と一緒にいることで一体この魔物にどんな得があったというのだろうか?)
サラはとにかくもう全てが嫌になっていた。
「ハハ...そりゃそうだな。
何が、“きれい“だ。魔物なんかに人間の顔のことなんて分かる訳ないよな。
適当なこと言いやがって...」
サラは馬に飛び乗った。
「もう二度と私の前に現れるなっ!!」
そう言うと馬を走らせた。

