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オオカミ君のホンネ
第20章 変化
染詠side

「……ありがとう…バイバイ…」

「学校でな。じゃあね」

正樹にアパートまで送ってもらい、階段を上がろうとしたときだった。

ブロロロロロロロロ………

俺の目の前に黒色の車が止まった。
中から出てきたのは、金髪の美少女。

知ってる。

未だに覚えてる。

忘れたくても忘れられない悪魔の顔。

「……ミ…キ……」

「おはよう、染詠。そういえば,あそこの公園で穣に会ったわよ?」

穣に会った……?

「……穣に何もしてないよな…?」

ミキはニコリと笑いながら頷く。
でも、その眼の奥深くには笑みなどない。

「私のパパ、染詠の学校の理事長になったの♪……これでまた、遊べるね?」

「ふざけんな!」

「……穣のことレイプしてあげてもイイのよ?」

コイツはいつも卑怯だ。


弱みを握って付け込む悪魔。


「あ、あと染詠の学校に私も入るからぁ♥」

「男子校だぞ!?」

「私のパパが理事長になれば,そんなの簡単に出来るのよ!」


そう、コイツのオヤジは主権者の大金持ちで、望めば何でも出来る。


下手に反抗すれば、穣や正樹、幸也やナオなんて簡単に学校から追い出せる。




また…いいなりになるのか。


幸也と別れて正解だった。付き合っていて、コイツが幸也を俺から奪えば、ショックで立ち直れないだろうから。


ミキはバイバイと微笑みながら車に戻っていった。




哀しくて堪らない





なんで俺ばかり?






なにが喜んでアイツの玩具にならなきゃいけない?






「クソ…ッ!!」

 

幾ら拳を壁に打ち付けても、苛つきが消えることはなかった。
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