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オオカミ君のホンネ
第14章 偶然という名の出会い
飛羽side

「………………母さん…?」
客が震えている。眉をひそめて。
染詠も。でも、染詠はきっと怒りでだろう。
「染詠………」
手を握ると、強い力で握り返してきた。すると,染詠が口を開いた。
「……母さん…まだ男に躯売ってんのか…?だからこんなところ来れるんだろ?そのネックレスも、腕輪も、ピアスも、服も!買い手から貢いでもらったんだろ?」
…躯を売る?買い手?意味が分からない。客は震えるばかり。
「…………俺のコトなんて忘れてたんだろ?俺が居たころはそんな豪華なもん付けてなかったもんな!」
怒りで震えている。でも,目は怒っているというより、泣きそうだった。
客「嫌あ…止めてぇ…」
客が泣き始めた。
染「忘れて、ノコノコと生きてたんだろ!?男に躯売って、金稼いで。俺の為に使ってくれたことなんて無いもんな…あんたはもう…俺の母さんじゃあないんだよな。」
客「忘れてない!!だからロケット持ってるのよ!」
染「違う。忘れないようにしてるだけ。本当は、早く忘れちゃいたいんだよな。」
客「ちッちがぁ…違うのぉ…
うああぁ…」
染詠は顔を歪ませている。
染「さぁ…お客様。なんで泣いてるんですか?」
客「違うのぉ…違うぅ…ッ…私はお母さんよ……あなたの……ッ」
染「……ふざけるなッ…よく母さんだなんて言えるよな。泣きてぇのはこっちだよ……ッッ」
染詠は頭を下げると控え室に消えた。
…声は荒げて無かったのが救いだ。
抑えてたんだろう。


「……可哀想な染詠クン…」
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