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Blindfold
第9章 本物
慌てるかずにぃと一緒に、私は病院に向かっていた。
スローモーションのように周りの風景が流れていく。
かずにぃの後ろ姿
あまりにスピードが速いから、もう追い付けない。
「かずにぃ…っ」
息が上がって苦しい。
振り返った彼の目付きから、とても興奮しているのが分かる。
「何してんだっ…はやく──」
「先行ってて…」
かずにぃは目を見開いていた。
何を言ってんだ、とそう訴えている。
「買いたいものが…あるから…」
「……分かった」
そしてまた彼は病院へ向かう。
その背中を私は黙って見つめていた。