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Blindfold
第31章 結果オーライ
そして、途端に昨日のことがパッと思い出される。
─────────── 微笑みかけたり、着飾ったり… そういうの、他の男相手にしてるのは、まぁ…いい気はしねぇよ
悠とも、もちろん拓也さんとも、何かあるわけないのに。
いつも余裕そうにしてるけど、実は心配していて…
不安にさせることはいいことではないのに、分かっていても胸が弾んでしまって、それだけ愛されてるってことが嬉しい。
「桜ちゃん、顔真っ赤よ」
「っ…いや…あの」
「かわいいわねぇ。達也の気持ちも分かるわぁ〜」
両手で頬を掴んだ幸さんがうっとりした表情を見せる。
そして隣で「ったく」と舌を打った店長は私の頭をガシっと掴んだ。
「いつまでここで突っ立ってんだ」
「っ……すみ…ません」
「仕事しろ、仕事」
言われるがままカウンターを出る。
だけど、その間にも幸さんはフフフと笑っていた。
そんな幸さんを見て、店長は「笑うな!」と意地になっている。
「ほら、落ち着いて。もう一回桜ちゃんからもらった財布見せてよ」
「お、もらったんだ! 俺にも見せて!」
「お前には見せねぇよ」
「なんでだよ!!」
背後で繰り広げられている会話を聞きながら、私もフッと笑う。
そしてお客の声を聞くと、「はーい」と返事をしてそのまま笑顔でそちらへ向かっていった。