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Blindfold
第1章 目隠し
「……あ〜いいよ、飯食って来たから」
「あ、そうなんだ」
深夜。
私の家のキッチン。
なんか、早く家に着いちゃったから、結構頑張って作ったんだけど…無駄だったか…
少しだけがっかりしながら鍋にふたをした私を樹は後ろから抱き締めた。
「………今日も、かずにぃのところ行った訳?」
「なんで…?」
「……なんとなく分かる。桜の表情を見てれば」
「へ〜」
変なところで鋭い。
伊達に幼なじみをやってないってやつだろうか。
「……で…?」
「でって…?」
「お前の想いはあの鈍感で有名な和明(かずあき)に通じた訳?」
「…………」
鈍感で有名なんだからさ…通じる訳無いじゃん。
「……もういい加減やめろよ」
「は?」
イライラしながら、私はまな板を見つめた。
「やめろって言ってんだよ。ばーか」
「樹には関係ない」
「あるって…っ」
本当は気付いてるけど。
気付かないふり。