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田園シンデレラ
第3章 シ
「響子よ。よろしくね」
「響子さん。で?どこに行きたいの?
こんな田舎じゃ行くところもそんなにないけど」

「ん~・・・」

「バッティングセンター、あるよね?」
「そりゃバッティングセンターならあるけど」
「じゃ、そこに行こう」
「って。響子さん、着替えたほうがいいんじゃない?」

上から下まで玄関の鏡で確認する。
きちんとセットされた髪に、スーツにヒール。
うん。いつもの私の通勤スタイル。

「平気。これが1番慣れてるから」
「へぇ・・・」

近所のバッティングセンターは本当に土地にモノを言わせ
横浜のそれとは規模が全く違った。

「え?90キロ行くの?響子さん、初心者は65キロからだよ」
「私、初心者じゃないもん」

仕事で、理不尽な目に会った時
得意先で嫌な思いをした時
私は会社帰りにバッティングセンターに寄った。

始めは65キロでもバットに当たらなかったけど
スーツにヒールのOLが珍しいらしく、
行くたびに誰かが教えてくれて。
今では90キロをスカーンと打ってストレス発散をしている。

金属バットの音がカキーン。カキーンと良い音で鳴り
ホームランゾーンに当たるとお祝いの音楽が流れた。

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