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田園シンデレラ
第3章 シ
「今日は楽しかったか?」
「うん。いろいろなところに連れて行ってもらっちゃった」
「そうか」

10以上も年下の坊主に軽く嫉妬する。

「今度は豪さんも一緒に行こう?」

何気なく言った俺の名前に反応した。
「・・・・」
ジッと見つめる俺に気がついて
「名前、聞いちゃった」
なんて舌を出す。

「名前で呼ぶな」
テレビを見るふりをして顔を背け
淡々と言う俺の、目の前に来て座り
テレビへの視線を遮った。

「なんで?好きになられちゃ困るから?」

軽くトロンとした顔で唇を突き出してむくれている。

「まさか・・・お前1本で酔ったとか言わないよな?」

え?ビール1本で酔ったのか?

「なによぅ。答えなさいよ。豪!
私に好きになられちゃ困るから『片桐さん』って呼ばせてるわけ?」

酔ってる・・・・

「豪!こら!答えろ!」

酔うと本音が出るんだな。
たった1本で酔いやがって。

あまりの可愛さに髪をクシャっとした。

「好きになりそうなのは俺の方だよ」

酔っぱらい相手に何を言ってるんだ。
自分の言動に可笑しくなったが、あまりにも可愛くて
言わずにはいられなかった。
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