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第5章 デ

お互いに若いころの話しを笑いながらしていたら
車が駐車場に滑り込んだ。

なに・・・ここ。

ここは都内でも有名なレストランだ。
敷居が高い上に予約が取れなくて有名なのに。

「ここ？」
「おぅ」

恐る恐る覗き込むようにしてドアを開ければ
「何してんだ？」
なんて豪が呆れた。
そのうちギャルソンが来て、豪は一言

「片桐だ」

と偉そうに言うと、奥の席に通された。

「偉そうなんですけど」

そう言った私にまた大きな声で笑うと
ほんの少し注目を浴びる。

「服装の事ちゃんと言ってよ！」
「ジーンズはダメだって言っただろうが？」
「え～」
「とにかく気にしないで食え」

野菜を中心にした見事なメニューはさすが！としか言いようがなく
本当に美味しく最後まで頂いた。

こちらが食べ終わったのを見計らってギャルソンが動いたので
デザートは何かな。っと楽しみにしていたら、
すっと横にギャルソンの黒い服ではなく白い服の誰かが立ったのでふと見上げた。

豪はその人に「料理長」と話しかけ
野菜の良かった点と、気になる点を挙げた。

ああ、もしかしたらここに野菜を卸しているのか。
そんなことを考えながら豪の話しを聞いていた。

「分かりました。オーナー」

料理長が豪に言ったその一言に耳を疑った。