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イケない秘め事
第16章 愛美の奮闘
朝、愛美に起こされた。
「お兄ちゃん。朝だよ!早く起きないと、会社遅刻するよ~。」
「もぉ、朝か。腹減ったぁ。」
「ご飯、出来てるよ。」

俺は、テーブルにつくと、飯を食い始めた。旨かった。
お茶を飲みながら、再度愛美に聞いた。

「昼まで頑張れるか?」

食器を洗ってる手が止まった。

「うん。頑張ってみる。」

俺は、愛美に近付いた。後ろから抱き締めた。

「お兄ちゃん。シャツ、汚れちゃうよ?」
「愛美…」

抱き締める腕に力を入れた。

「愛美…好きだ。」
「うん。」

俺は、出かける時間ギリギリまで、愛美の側にいた。

「じゃ、出掛けてくる。昼には、戻るから。出来る限りメールするからな。」
「うん。」
「いい子だ。」

俺は、愛美の顎を持ち上げて、キスした。

「行ってくる。」
「いってらっしゃい。」

玄関を出て、振り向くと愛美が手を振ってた。振り返して、俺は、車に乗って、会社へと向かった。

玄関を閉めた愛美が、部屋を見回した。ここには、いま、愛美しか居ない。少し怖くなった。ソファに座って、ペンギンのぬいぐるみをギュッと抱き締める。怖くて、泣きそうになる。でも、頑張らないと!何が愛美をそうさせたのかわからないが、愛美は、まず洗濯をした。

「よし。これでいいのかな?」

次に、寝室の掃除をする。窓を開け、布団を干す。掃除機をかける。居間に行き、物をどかしながら、掃除機をかける。

ちょうど、洗濯がおわり、ベランダに干していると、

「おはようございます。」

という声がしてきた。
声の方を振り向くと、可愛いエプロンをした女の人がいた。

「あなた、お隣の…妹さん?」
コクン…
「おはようございます」
「私、隣の田所恵美。うち、子供小さくて、うるさいかもだけど、ごめんなさいね。」
「あっ、いえ…。」

優しそうな、綺麗な人だな。
奥から、子供が泣く声がする。

「じゃ、またね。」

窓が、閉まる。
気付いたら、もう部屋の時計は、10時を過ぎていた。コーヒーを入れ、ブラックで飲みながら、悠祐にメールする。
掃除したことと、お隣さんに会った事を。数分後、

「良かったな。偉いぞ、愛美。もうちょっと、待ってて。」

愛美は、携帯を閉じると、陽の当たるソファで本を読んでた。いつの間にか、眠ってて…



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