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HOTEL・LOVE
第18章 突然告げられた別れ


駅までの道を少し変えて、川沿いの遊歩道に沿って歩いた。

頬をかすめる風が冷たいのはわかっていたが、

香澄の体を冷やしてはいけない事もわかっているが、

ほんの少しでいいから晴樹は人目を避けたかった。


もう20メートル先には賑やかな人通りが見えているが、

今2人が立っている場所は暗く静まり返っている。


晴樹は香澄を抱き寄せた。

もうホテルへ誘うことはあきらめた。

せっかく気持ちに整理をつけたのに、

それを無駄にするような事はしてはいけない。


だからせめて・・

最後の最後にその温もりを確かめたかったのだ。

抱きしめて、キスをして、

それを大事な宝物にしたかった。



「最後に・・もう一度だけ・・キスさせて・・」



黙って香澄は受け入れた。

自分もそうしたかったから。

これが最後・・最後の・・・


触れ合った唇の感触をしっかりと覚えさせるように、長いキスをした。



「ありがとう・・香澄・・一生忘れない・・

 絶対忘れないから・・香澄も忘れないで・・・」


「忘れない・・ずっとずっと・・忘れない・・・」





ラブホテルで生まれた香澄と晴樹の一瞬の恋は、

ここで終わりを告げた。

賑やかな人通りのその向こうに、

灯りをともしたホテル・コパカバーナの看板が

ちょこんと頭をのぞかせるように小さく見えた。

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