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HOTEL・LOVE
第19章 それぞれが見上げた空
晴樹が香澄からもらったメールには、
写真が添えられてあった。
赤ちゃんを抱いて微笑む香澄。
懐かしさと愛おしさに目頭が熱くなった。
・・無事に出産しました。
主人に似た、O型の男の子です・・
その短い文章に晴樹は香澄の思いやりを感じた。
O型の子・・
AB型の自分とO型の香澄の間には生まれない子。
安心してくれ、という香澄からのメッセージだと晴樹は思った。
時期的に自分の子じゃないし、避妊もしたんだから間違いはない。
そうはわかっていても、絶対とは言い切れないのはやはり
体をつなげた事実があるから。
なにかの手違いで時期が違っていたとか
コンドームに穴が開いていたとか、
予期せぬことがおきていたかもしれないと不安を抱いていたことは確かだった。
香澄・・よかったな。
念願の子供が授かって、本当によかった・・・
写真を見ながら晴樹は泣いた。
この笑顔を見ることができてよかったと泣いた。
好きになった女が幸せになった姿は、
男だって泣きたくなるほどうれしいんだ・・
見上げた空が青く澄みわたっていた。
この同じ空の下で、香澄も自分も生きている。
彼女もこの同じ空を見上げているんだ。
いつかまた、一緒に見上げることができたら・・
ぬるい風が晴樹の涙を乾かした。
end・・