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HOTEL・LOVE
第7章 縮まる距離
「あ、あの・・」
蚊の鳴くような男の声に、我に返った。
「こんなに・・聞こえるんですか?」
見上げた晴樹の眼は、
曇りを拭き取ったガラスのように
色を感じなかった。
それは驚きとか動揺とか、
そんな気持ちのせいだろうか。
「ドア開けるともう一つ、内ドアがあるでしょ。
そこ開けたままだと聞こえるわね」
「ああ、なるほど・・
だから二重ドアに・・」
「そう。
たいていの人はドア閉めてるだろうから
声なんか聞こえてこないでしょ?
この客は開けてんのよ。
わざと聞かせてたりして」
フッと鼻を鳴らして笑った香澄は、
動きを戻してリネン室のドアを開けた。
その背後から晴樹と、
まだ続いている喘ぎ声がついてきた。