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HOTEL・LOVE
第9章 さらに縮まる距離
晴樹は
真夏のこの仕事が
こんなに汗だくになるとは思ってもみなかった。
週に2日、多くて3日、というサイクルを
繰り返しているうちに2ヶ月が過ぎた。
今年の夏もハンパないよな、と
汗で湿ったTシャツを脱ぎ、
汗ふきシートで体を拭った。
いくら汗臭さは男の象徴、みたいに言われても
今どきの若い男は
アフターケアをしっかりとする。
汗ふきシートに制汗スプレー。
でも頭はどうすることもできない。
やっぱ臭うかな・・
でも帰るだけだからいいか、と鏡を覗き込んだ。
更衣室から出たところで
帰り支度を済ませた香澄と出くわした。
「今日もお疲れ様でした」
「お疲れ様でした。あの、
駅まで一緒に帰ります?」
自然な晴樹の声に
香澄も自然に反応した。
ええ、帰りましょ、とそろって
ホテルの通用口から2人並んで外に出ると、
まさに今入ろうとしているカップルとすれ違った。
無言のまま客と距離を置いてから、
「きっと私たちのこと、出てきた客だと
思って見たんでしょうね」
女と目があったが目じりが笑っていた。
そのことを話すと、
晴樹は汗で湿った髪をかきむしった。