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HOTEL・LOVE
第11章 求める理由
「なんでうちのホテルに来るんだよぉ・・
どうせだったらよそに行ってくれたら・・
そしたら知らなくてすんだのに・・」
その様子を見ていたら
カンパイ!なんて気分にはなれない、と
香澄も肩を落とした。
黙ったままビールを口にすると、
見ていた晴樹がとってつけたようにジョッキをあてた。
グラスとグラスがぶつかった音は、
まったく聞こえてこない。
それくらい力ないものだった。
「同じ・・部署の人なの?その人たち」
「うん、先輩とオレは同じ部署。
後輩は総務部なんだけど、
まぁ接点はあるからな・・でも・・
一回り歳が違うんだよなぁ、おまけに
女の方はさ、去年結婚したばっかりなんだよ」
それを聞いて香澄の中に、
これまで見てきたり聞いてきたりした
男と女の事情がよみがえってきた。
「それ・・
彼女が結婚する前から
関係があったんじゃないの?」
急に冷ややかな声音になった女の顔を、
少しの驚きとともに見つめた。
その眼差しを気に留めることなく、
ビールをさらに2口飲んでから香澄は
吐き捨てるような口調に切り替えて話し出した。