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第11章 求める理由

瞼を閉じ、

昼間の光景を一つずつ思い出す。


あの２人のかわす笑顔・・

不安そうに自分を見つめる彼女・・

オレの背中を優しくさすってくれた・・

笹木さん・・・



あの時、彼女から伝わってきた

温もり・・

あんなにも・・思いやりにあふれていて・・


でも飲み屋で見せたあの表情は・・

自分も不倫をしてみたい、とつぶやいた・・


小さな不満、深刻ではない不満・・

オレも、持ってる・・

笹木さんと同じように・・


実際どんな不満なのか、聞いたわけじゃないから

わからないけど、埋めたいなら・・

一緒に埋めようか・・


今度香澄に会った時、もしかしたら

口が勝手にこう言うかも・・


晴樹は閉じていた眼を

開けた。