この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
悪戯な思春期
第6章 いたいけな従者

 天草椎名。
 天然。
 わかりやすい。
「わっ。瓜宮」
「……おはよ」
 人を見るなりその反応はおかしいでしょ。
 首筋を掻きながら、上履きを落とす玄関。
 おかしいな。
 西雅樹の姿がない。
 そういう視線にはすぐ気づく。
「あ、雅樹ね。休みらしいよ」
「聞いてないけど」
「えぅ……ごめん」
 溜め息を飲み込む。
 風邪はあり得ないだろうから、法事かなんかなんたろうなあとぼんやり。
「あのさ、瓜宮」
「なに?」
 少し強めに放ったので、天草はぐっと唇を噛んで怯んだように止まった。
「なに? 僕はもう警戒レベル下がったから都合よく恋愛相談でもしようとした?」
 はい、正解。
「あっ、んぐ……あのねえ」
「どうせ奈々宮会長の好意に今更気づいて板挟みになって困ってるんでしょ?」
 歩きながら上履きを引き摺って履く。
 天草はワンテンポ遅れてついてきた。
「な、なんで」
「同じ相手に抱いてる場合はわかるんだよ」
「なら」
「言ったよね? 二日間の差って」
 みなまで言わなきゃ伝わらないのかな。
 多少の苛立ちを足音に木霊させて、階段に向かう。
 噂すればなんとやら。
「あ、会長」
「椎名、おはよう」
 すぐに怪訝な目を向けてくるのも失礼だと思うんだけど、敢えて目線を逸らす。
 交流はそんなにないし。
「西雅樹は?」
「え? 休み」
 わかりやすさ第二号。
 よく会長になれたなって感じだけど、全校生徒の顔なんてわかりやすい真面目か熱血馬鹿に限るんだろうな。
 大抵の生徒的にはさ。
 個人的には好きだけど。
「えと」
「あ、いや。昼休みの会議忘れんなよ」
「はいはーい」
「頼むぞ……最近ミス多いから」
「はい! 会長せんせー」
「ばーか」
 ほら。
 邪魔物がいないと知って、天草が構うもんだからニヤニヤしてさ。
 そんなの気づくに決まってるじゃん。
 ただでさえ生徒会は目立つし。
 奈々宮が名残惜しそうに教室に去っていったのを無言で見送る。
 そろそろ行くか。
 歩き出そうとしたところで、腕を引き留められる。
 こういうのが無自覚って言うんだ。
 憎らしい。
「……その、さ。あんな感じでいいのかな」
「さあ? 期待持たせてるとしか見えないけど」
「瓜宮ぁ」
「別に二股してもバレる相手じゃないと思うよ、会長。バレてもそれでもいいだろうし」
「なんで」
 そう、残酷。
/100ページ
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白いエモアイコン:共感したエモアイコン:なごんだエモアイコン:怖かった
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ