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悪戯な思春期
第4章 女王の本性
滋賀輝弘。
瑠衣より六歳年下の人気俳優。
清純派俳優としてデビューしたにも関わらず、私服の奇抜さはその辺のヴィジュアルを凌ぐもので話題となった。
通称シーアン。
瑠衣とは六年前に映画で共演してからの仲であり、親友役を通して本当に親友となった。
瑠衣の銀髪とは対照的な濃いブラウンのサラサラヘアで女性の人気を集めている。
深すぎるといっていい瑠衣の顔立ちと似て、大衆の中で一瞬で探し出せる人物でもある。
ネックは声の高さだ。
心地いい瑠衣のテナーとは程遠い青年のような声が話題を呼んだ。
圧倒的な存在感で主人公に選ばれることが多々あり、外国からのオファーも来ているそうだ。
最も、銃など構えればファンはこぞって彼を見に行くだろうから、海外でも成功は間違いないだろう。
狂気じみた探偵役では、どんな役でもこなす可能性を世間に知らしめたものだ。
三十六となった今も独身で、瑠衣との恋愛関係が噂される。
「シーアン」「ルー」と呼び合う中で、互いのスタッフも仲が良かったりする。
「ルーですか? 俺の大切な人です」
記者会見ではいけしゃあしゃあとそう言った。
あれだけ度胸があるからこそ彼と付き合ってられるのだろう。
互いの家に泊まりに行くところを何度も目撃され、ゴシップ誌を騒がせるのは年中のこと。
「シーアン? 僕のものだから手を出さないでよ」
対する瑠衣がこの態度だから仕方ない。
最近は頻繁にツーショットが多く、また久しぶりに二人の接近が注目されている。
八年ファンだった自分にとっては、またかという感じだ。
瑠衣は同性にも分け隔てなく接するし、ライブでのキスは常習犯なのだから。
滋賀輝弘とキスしたところで日常茶飯事と同じだ。
(なんでこんな状況で滋賀輝弘を鮮明に思い返してんだろ)
目の前で瓜宮に見下ろされながら私は心の中で苦笑した。
なぜよりによって今なのか。
それは瓜宮と雅樹がまるで、まるで滋賀と瑠衣のようだからだ。
笑った私を雅樹が横目で見る。
何を考えてるのか、と問いたげだ。
(教えないけどね)