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悪戯な思春期
第4章 女王の本性

「お疲れさん」
 汗だくで給水所に向かっていると背後から首に腕をかけられた。
 相手の胸元を見て、雅樹じゃないと気づく。
「会長!?」
「羽矢に負けたらしいな」
「なんで知ってんのよ」
 奈々宮が立ち止まる。
 身長は、雅樹より少し低い。
 しかし、胸板はがっしりしていた。
「見てたから」
 心臓がとくんと波打つ。
「それって」
「椎名、お疲れ様」
「……出た」
 雅樹が頭を撫でる。
 奈々宮は顔をしかめて飲み物を取りに行った。
「惜しかったな」
「惨敗だよー」
「いや、二セット目はデュースが続いてたろ?」
 なんか嬉しい。
 こうやって頭ナデナデされると、小学生に戻った気分だ。
 頬に冷たいものが当たる。
「はい」
 奈々宮が冷たい紙コップを差し出す。
「ありがとー!」
「ポカリでいいよな」
「うん!」
 雅樹が手を離す。
 クピクピ飲んでいると、目の前で火花が散る。
「会長の癖に本部席にいなくていいわけ?」
「同じ本部の仲間を労うのも大切だからな」
 私は首を竦める。
 この二人は正に犬猿だ。
 なら、どちらが猿か。
 判断し辛い問題だ。
「二十分後だ」
「わかってるよ」
 雅樹は早々に私を連れ去りたいみたいで、奈々宮の宣戦布告すら受け流す。
「負けたら……」
 奈々宮が言いよどむ。
 一瞬相手を見定めるように三人は視線を交わした。
 周りの生徒たちを忘れるほど。
「……天草一日貸してくれ」
(へ?)
「はぁ?」
 雅樹も当然の反応だ。
 だが、奈々宮は引かない。
「チャンスくれって言ってるんだよ。お前に先越されたから」
「何の話?」
「椎名、先に飲み物持って屋上行ってろ」
 ぐいと押しやられる。
 すぐに沢山の生徒の流れに吸い込まれる。
「雅樹!」
「すぐ行くから」
 二人が見えなくなった。

「で、いつから?」
 奈々宮を鋭く睨みつける。
「生徒会演説からだ。一年ずっと機会を窺ってた。まさか西が狙ってたとはな」
 ガリガリと頭を掻く。
「別に俺は構わない」
 二人を割くように生徒の波が過ぎる。
「余裕かよ……」
 奈々宮が苛ただしげに吐き捨てた。
 その整った横顔に、モテるだろうなと思ってしまった。
「別に、そうじゃない」
「じゃあ……」
 踵を返す。
「俺のが長いから」
 ずっとな。
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