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色絵
第9章 猫
先生の腕に包まれて、その胸板の下で愛を交わす。
先生が優しく抱いてくださるのも好き。

体温を感じ、愛されていると実感するのだ。


「せんせぇ…せんせぇでいっぱいです。」

首に手を回しキスをねだる。

ずっと、このまま繋がっていたい。

「愛しています。」

先生がはっきりと言葉にしてくださり、唇が近づいてくる。互いの吐息がぶつかりそうな程近い。

先生の熱い視線を見つめられなくなり目を閉じようとした時、



カチャリ

ドアノブが回り、静かにドアが少し開く。


キャアァァァ…

ビクッ…

ワタシの叫び声に先生が止まる。


タタタタタタっ…

明らかに2本足の足音が廊下を走り去っていく。

「先生っ…」

先生が離れシーツをワタシにかけ、着物を羽織り廊下にいき足音を追いかけていく。


「こら、部屋にいなさいと言ってあるでしょう。」

奥の方で先生の低い声が聞こえる。

やはり、先ほど少し開いたドアから見えたのは目だったのだ。

何が起きたのか、どうしたらいいのか、わからないワタシはシーツにくるまり先生の戻りを待った。

数分間が凄く長く感じたが、先生が戻って来られた。

その表情は固く、ワタシはいたたまれなくなる。
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