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色絵
第9章 猫
ワタシは息が止まりそうだった。もしかしたら、先生に本気で愛されたのはワタシだけではないかと、有頂天になっていたから…
そして何も言えないので、視線を先生に向けたまま珈琲を啜る。
「僕はもちろん絵描きに成りたくて美大に進むつもりだった。
だが、古物商を継ぐため、そして将来は彼女の父親の会社も継ぎ両家が安泰となるよう、彼女の家の会社に入り修行することが決められていたのです。
美大に行くこと自体は反対されませんでしたが、彼女の家の会社に入らなければ、彼女との交際は続けられないと、勝手に恋の終わりか人生の終わりかの選択の期限が決められました。」
先生が一息ついて珈琲を啜る。その味同様苦々しい表情で…
「僕は家から離れた美大を選んだ。純粋に彼女と絵のことを考えたかったからね。
彼女は実家に残ったから大学時代は遠距離恋愛だった。互いに期限を惜しむように愛し合ったよ。
結局、相談して結論を出すことはなかった。
彼女は僕の夢を優先させたくて一歩引いてたんだ。
僕も今考えれば駆け落ちするとか、方法はあったんだよね。
結局、日本画を始めるという名目で1年卒業を遅らせた。
卒業を延ばしちゃいけないという約束はしていなかったからね。」
そして何も言えないので、視線を先生に向けたまま珈琲を啜る。
「僕はもちろん絵描きに成りたくて美大に進むつもりだった。
だが、古物商を継ぐため、そして将来は彼女の父親の会社も継ぎ両家が安泰となるよう、彼女の家の会社に入り修行することが決められていたのです。
美大に行くこと自体は反対されませんでしたが、彼女の家の会社に入らなければ、彼女との交際は続けられないと、勝手に恋の終わりか人生の終わりかの選択の期限が決められました。」
先生が一息ついて珈琲を啜る。その味同様苦々しい表情で…
「僕は家から離れた美大を選んだ。純粋に彼女と絵のことを考えたかったからね。
彼女は実家に残ったから大学時代は遠距離恋愛だった。互いに期限を惜しむように愛し合ったよ。
結局、相談して結論を出すことはなかった。
彼女は僕の夢を優先させたくて一歩引いてたんだ。
僕も今考えれば駆け落ちするとか、方法はあったんだよね。
結局、日本画を始めるという名目で1年卒業を遅らせた。
卒業を延ばしちゃいけないという約束はしていなかったからね。」