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色絵
第9章 猫
百合と薔薇は花びらが開き、だいぶ様子が変わっていたが、まだそれを題材にして絵を描いていた。

しばらく無言のまま絵に取り掛かる。いつもと同じ静かな時間が流れていった。

「休憩にしましょうか。」

先生が紅茶をいれてくださった。

「先生、沙絵さんは1人にしていて大丈夫なんですか。」

ワタシはふと思ったことを口にしていた。

「大丈夫ですよ。
貴女が来る前から、日中は僕はアトリエに籠り、沙絵は自室で勉強する。
学校と同じように、勉強の時間を取っていましたから。」

「そうなんですか…」

でも物音を立てたり、覗きに来たのは、寂しかったからではないか…

そう思った。

「昼は一緒に食べてますし、勉強もわからないところは夜見ていますからね。
シングルファザーにしては、沢山一緒に居られてますよ。」

学校に行けない分、けじめをつけているのだろうか。学校だって先生や友達との関わりがあるのに寂しくないのだろうか。

でも人の家庭方針に口を挟むことは出来ない。それ以上、沙絵さんの話をすることはなかった。

いつも通りレッスンが終わり、ワタシは一旦屋敷をあとにする。

沙絵さんと先生の時間を奪わないように…
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