この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第7章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.王子の憂鬱
そんな時だった。
聞きたくもないSeasonの曲が、部屋に流れたのは。
そしてあろうことか――。
「Haruっ!?」
果て間近の僕を簡単に離して、しーちゃんが……サイドテーブルのスマホに飛びつき画面をいじると、大声で叫んだのだ。
「やった――っ!! ライブ後のHaruの握手券っ、抽選あたった――っ!!」
チケットには特別な抽選があるみたいだと、サクラからは聞いていたけれど。
だけど今、それは関係ないよね?
「し、しーちゃん……ねぇ、それより……」
「やったやったやったっ!!」
甘い甘い、あの淫らな時は帰らない。
しーちゃんの心は忌まわしきHaruに奪われ、僕に帰らない。
縋るようにしーちゃんを抱きしめ、マイクロフリースですりすりしながら愛情のキスをしても、しーちゃんは上の空。
「Haruと握手、きゃああああ!!」
僕は、あんな……オトコに負けたの?
果て間近なしーちゃんの快楽を打ち負かすほどに、僕を中途半端に放置する程に……Haruはそんなに魅力的なの!?
「やっぱり愛があれば、奇跡が起こるんだね!!」
「ウサギさんにも、愛をちょうだい?」
奇跡に至る前に、放置プレイをされた羞恥のウサギ。
ウサギは、寂しいと死んじゃうほど、か弱くて繊細な動物なんだ。
「Haru~っ!!」
「こっち見て、しーちゃん」
「楽しみぃぃぃ!!」
「ぴょんぴょん、ウサギさんだよ……?」
「きゃああああん、嬉しいぃぃぃ!!」
「しくしく……」
猛ったモノもショックで萎え。
それすら気づかぬ、全裸のしーちゃんの歓喜の雄叫びを聞きながら、僕はしーちゃんの枕に突っ伏して、しくしくと泣いた。
ああ……忌まわしきHaru。
僕もしーちゃんも、寸止めにしてほくそ笑む…憎々しいHaruを許すまじ!!
「Haru~っ!!」
プツンとどこか切れる音がして、気づいたら僕は……握手会への引き替え画面になるメールを削除していた。
ウサギの憎悪を思い知れ!!
僕のしーちゃんに触れさせるものか!!
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
……それから、しーちゃんは僕とも口を聞いてくれなくなった。
ナツSide → Next stage……