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【SS】目が覚めたら…?
第8章 【2000拍手突破感謝】Ⅱ.執事の憂鬱
そしてHaruも消えた店内――。
「本当に、貴方達は何者なんです? 芸能人?」
相楽が俺に聞いて来る。
「いいえ、ただの…医者と、ただの…モデルをバイトにしている大学生と、俺は……」
俺はなんだ?
俺は――。
「僕の必要不可欠な大切な友達で」
ナツがいつもの顔で微笑み、
「俺達の必要不可欠な執事だ」
波瑠さんが呵々と笑う。
「執事?」
「そうだ。俺様達の頼もしい執事だ」
"必要不可欠"
"頼もしい"
やばい、嬉しくて顔が緩んでくる。
「我が執事に、申しつける」
波瑠さんが言った。
それは――。
あのひとの……静流さんの心を取り戻すための作戦でもあった。
「しかし、その案でいけば警察が……」
「ウサギを……元特攻隊長の宇佐木を呼ぶ。あいつは派手な祭り好きだ、元総長の意地にかけ、なんとでも転がすさ。
いいか、とにかく集客するのが先決。お前の言う……30分の準備時間は、俺とナツが引き受ける。後は……お前と相楽の腕次第」
相楽は緊張した面持ちで、ごくりと唾を飲み込んでいる。
「行くぞ、"ドーム&Season乗っ取り大作戦"」
「ふふふ、よぉし、僕も頑張るぞ!! 波瑠兄、衣装は?」
「目立ってナンボだ。3点セットで買ったんだろ? それで行く」
愉快そうに笑う波瑠さんが指さしたのは、ナツの着ぐるみ。
ははは。
これはいい。
これは面白い。
波瑠さんの案はいつもこうだ。
奇抜で、度肝を抜いている。
だけど、常勝だ。
だからカリスマ帝王なんだ。
だから俺は信じる。
あのひとはきっと帰ってくる。
こちら側に戻ってくる。
俺も、"こちら"側に入れて貰えるというのなら。
せめて心の中では叫びたい。
戻ってこい、俺達のもとに!!
あのひとの目を覚まさせるための作戦が今――
「皆いいか、……Fight!!」
密やかに、開始された――。
モモSide → Final stage……