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【SS】目が覚めたら…?
第10章 【2000拍手突破感謝】0.憂鬱の逆襲
目が覚めたら――。
ラブホの大きな丸いベッドの上。
そこに居たのは、ハル兄とナツとモモちゃん。
「なぁシズ。なだめろよ」
「しーちゃん、ここ……解すよ?」
「あ……俺まで……」
「皆さん、今日は本当にお疲れ様でした。
あたしが出来る愛の表現は……」
"マッサージ"。
していたはずが、いつのまにかあたしもマッサージをされていて。
ひいひい悲鳴をあげたり、気持ちよさそうな声を出したり。
複数で複数の身体を労り合って、情を通い合わせる打ち上げ兼慰労会。
それが、現実となった。
――それがお前の答えか?
どこかでまた声が響いた。
ええ。
憂鬱の向こう側が夢であればいいと願ったのはこのあたし。
あたしは、与えられた現実の中を歩いていきたい。
たとえこの先が、どんなに厳しくて哀しいことが待ち受けていても、ただ現実逃れのような、快感ばかりで目が曇るような……ナシ崩しのような生活はしたくない。
あたしはまだ、そうした生活を"選んでいない"から。
たとえ現実が憂鬱でもいい。
あたしが望んだ"生きた今"を、"目覚めた現実"を生きていたいの。
あたしは、現実から逃げたくない――。
「どうしたの波瑠兄」
「なんで俺らここにいるんだ? 俺達公園で……」
「え、波瑠兄も? なんだか今まで公園に居た気がしたんだけど。サクラもいたんだよね。その……えっちなことして」
「!!! ナツも覚えているのか!?」
「ふふふ、皆……同じ夢を見たんだね。あたしのマッサージ、気持ちよくて皆寝ちゃっていたし……」
「「「夢……」」」
解せぬ顔の三人。
ただ流されるがまま、選ばずに生きることは簡単だ。
だけどそれではつまらない。
もがいてもがいて、未来を選んでいくことこそが人生。
だから――。
真実は夢に隠して。
これは、そう。
卑猥さすら吹き飛ばす……、
憂鬱という名の現実の、逆襲――。
Fin.