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【SS】目が覚めたら…?
第15章 【アンケ感謝】藤見さま☆『艶事談義』
「ふぅ……ようやくついた。今回は長旅だったね~」
「まったくだ。ここらへんだな、フジミっていうのがいるのは」
私奏多は、ナツとハルと共に舗装されていない砂利道を、履き慣れぬ草履でよたよた歩いています――。
一番体力がない私、体力馬鹿兄弟の荷物運びによたよた。
シズちゃんは、ハル兄の肩の上ですやすや。
いいなぁ……。
足痛いんだけどな……。
「なんだその目は。抱いて貰いたいのならナツに頼め。俺様は手一杯だ」
「ちょっと波瑠兄!! 僕はしーちゃん専用なんだからね!?」
いいよ、いいよ。
あんた達が大将は間違いないんだし。
「しかしこのヘボ作者。こちらからは全く連絡つかないというのに、なんでそっちからは連絡がつくんだ?」
「本当、本当!!」
「あは☆」
ファンタジーですから!!
時は江戸、百万石のヤナセ藩の城下町。
藤見さまは色々忙しいお方らしいので、お仕事場にお邪魔することになりました。江戸時代まで出張なんて、本当にお仕事ご苦労様です。
ナツはふわふわなミルクティーの髪のまま、若草色の着物に藍色の羽織を着て、少し粋な歌舞伎役者風。
ああ、そういえば歌舞伎役者ってこの時代、ファッションの先駆者でしたっけ。さすがは現役モデルです。
一方ハルは、サラシ巻いた逞しい胸板を覗かせながら、黒い着物をひっかけたかのような……うん、これは賭博場で賽を振ったり花札をしている、博徒系統ですね。
もうそれしかないでしょう、この帝王にお似合いの衣装は。
ただし口に咥えているのは、ハル兄の好きな銘柄のタバコ「ピース」。
どうしてもこれは譲れなかったらしいです。
どんな時代の衣装でも、元がよければふたりお似合いで。
独自のフェロモンをむんむん出してしまって。
周囲からの視線が来ること来ること……。
半分は奇異、半分は熱視線。
しかし兄弟はなんのその。
至ってマイペースで闊歩しております。