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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
すべてを片付け、猟師は硝子の棺に眠る愛しい女を切なげに見つめる。
「シズ……っ」
呪いが解けた弟と、信頼する部下の見守る中、硝子の棺は静かに開けられた。
「シズ、聞こえるか? シズ、目覚めろ」
感極まって涙を零す猟師が、棺に眠る女に口づけた。
「もうすべて終わった。ただの女として、俺のところに戻ってこい」
何度も何度も――。
「ん……」
そして女は目を開ける。
「……ハル?」
愛おしい男の姿を見ると、女は戸惑ったような顔をした。
「ええと……?」
状況が掴めぬ女に、猟師は愛おしそうに微笑んだ。
「すべては終わったぞ。後でゆっくり聞かせてやるよ。俺を守ろうとした愛おしいアホタレに、俺がどれほど恋い焦がれて、どれほど必死で、消えたお前を探していたのか。
――もぅ離さねぇからな。どんなに逃げても、必ず捕まえる」
唇が重なる。
「お前は、俺の嫁だ。……お前に拒否権はねぇ」
……目が覚めたら。
そこは愛の光に満ちていた世界。
女の目から歓喜の涙が零れる。
彼女を心から愛するふたりの男が、嬉しそうに祝福の拍手を送る。
「俺の隣で一生を過ごせ。……俺だけを愛して生きろ。
俺も命ある限り、お前を愛すから」
姫であってもなくても。
王子であってもなくても。
「お前の生涯を、俺にくれ」
真剣に相手を想う愛さえあれば、きっと辿れる――、
「うん、うんっ!! あたしを……お嫁さんにして、ハルっ。
ハルが好き、ハルとずっと一緒に居たい――っ」
目覚めた世界は、そう……。
きっとハッピーエンド。
【ハル編 完】