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【SS】目が覚めたら…?
第25章 【ファン感謝】白雪姫 ①猟師(ハル)
そう――。
生者を仮死状態にする特殊な硝子の棺に詰められたのは、目覚めを待つシズル姫。
その棺を作り出したのは、王妃の呪いをかけられた猟師の弟。
そして、兵士と魔力によって防御の厚い城の警備を乗り越え、王妃の元にやってこれたのは、"姫の本当の幸せ"を猟師の庇護の条件に望んだ……隣国王子の計らい。
――お願いします。あたしをどうとしてもいいから、ハルを助けてください。貴方は王子なんでしょう!? ハルを、お母様の手から守る力を。
捨て身で現れた姫の、猟師を想う心に、王子は負けた。
元々勝負にならなかった賭け。自分を選んで戻って来てくれたのだと勘違いしたのは一瞬だけで。
たった1日で、姫は女の顔をしていた。
そうさせたのは、自分が崇める……元王子の愛。
わかればこそ、彼もまた快く動いた。
――俺が望む幸せは、貴方がハルさんの元で幸せになることです。
――森に行きましょう。そこに俺の信頼する友がいます。
――あなたは、この国を、"王女"を、棄てられますか?
姫は王女の身分と祖国を棄てることで――
愛する者との未来を守った。
「猟師つーもんはな、奪い取るのが仕事なんだよ。だが慈悲はある。
殺されたくねぇのなら、言うことを聞け」
「な、なにを……っ!! 誰か、誰か!! その者を殺せ、殺すのだっ!! 褒美はたんとやる、誰か――っ」
「言っただろう、この城は隣国に堕ちた。お前はもう、命令さえすれば誰かに守られるこの国の王妃じゃねぇ。"美しさ"のように、それに縋り付いても無駄だ。それに城というお前の結界を壊したのは、隣国の王子の奸計。お前の魔力より、あいつの頭の方が上だったんだよ。
もうお前に、防御の術はねぇ。これからの付き合いが長くなるか短くなるのか決めるのは、お前の態度次第。なぁ……義母上?」