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【SS】目が覚めたら…?
第26章 【ピックアップ御礼】その日……。
【ナツSide】
それは、まだ眠気が漂う朝のことだった。
スマホを弄っていた僕の目に飛び込んできたのは、僕達の四度目のピックアップ。
ピックアップ……。
ピックアップ!?
僕は飛び起き、一番にしーちゃんに教えようか波瑠兄に教えようか迷った末、ここは僕達を率いてくれた大好きなお兄ちゃんにまず先に知らせることにした。
波瑠兄の部屋のドアは空いていて、すでに波瑠兄は居間に下りていたらしい。僕はスマホ片手に急いで階段を駆け下りた。
「波瑠兄、波瑠兄、波瑠兄――っ!! 見て見て聞いて、僕達がなんと四度目の――っ!!」
「あ? ナツ?」
急に曲がり角から、歯磨きをしていたらしい波瑠兄が、何の騒ぎかと飛び出してきたのに僕は対処しきれず、
「うわ、うわわわわわっ」
ゴツン――。
「イタタタ……」
「うっ……」
僕は波瑠兄と頭突きをしてしまった。
ずきずきする頭。軽い脳震盪でも起こしてしまったのか、目の前がぼんやりして仕方が無い。
「波瑠兄……大丈夫……?」
「ああ、お前は……」
「ん……。大丈夫。だけど洗面所の鏡でたんこぶ見てくる……」
ああ、耳もぼわんぼわんして、自分の声が低く聞こえるし、波瑠兄の声がやけに上擦って聞こえて。あまり大丈夫ではないかもしれない。
「俺も……すぐ行く……」
「じゃ、お先……」