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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
あたしが見抜けないとでも思ってる?
微笑みの中のその翳りが、その憂いが、あたしをすり抜けていたことに。
焦ることもないほど、どうでも……いいの?
あたしの身体だけがあればいいの?
心は必要ないの?
話をしようと思った。
身体を繋げるだけではなく、心を繋げて貰いたかった。
ナツは変わらずにあたしの傍にいると、どこにもいかないと、安心させて貰いたかった。
他の女ではなく、あたしを必要としていると言って貰いたかった。
それなのに、ナツは拒絶した。
――会話なんて今は必要ない。僕の想いを言葉より、身体で感じて。
他に向けられているかもしれないそんな想いを、あたしの身体がどう感じられるというの? 他の女のために養ったその性技でも、あたしなら騙されて喘ぐことができる手軽な女とでも思っているの?
芽生える、ナツヘの不信感。
同時に、強まる悲しみと切なさ……。
ナツに必要とされていないあたしの心が、快楽という現実から剥離された。
微笑んだナツが映るあたしの心に皹が入り、しゃらああんとか細い悲鳴のような音がしたのを聞いた。
熱をもって膨らんでいたナツへの感情がなにかわからぬまま、ただもどかしいままに、あたしの身体から剥がれたあたしの心は、妖艶な大人のナツを映したたくさんの鏡の欠片となって舞い落ちる。
壊したくなくて慌てて両手でそれを掬っても、しゃらしゃら音をたてて指の隙間から零れていく。
儚く脆いナツがあたしから消えて行く――。
あたしと視線を合わせない、ナツの欠片があたしから離れていく――。