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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)

 
 昔のナツは、どもりながらも誠実だった。

 出ない言葉で、一生懸命真心を伝えようとしてくれたのに。


 今のナツは、艶や愛撫で誤魔化そうとする狡猾さがあって。


 このナツは、本当にあのナツの成長した姿なの?


 昔のナツならあたしから離れないという自信があった。

 だけど今のナツは――?



 あたしはきっと、いずれナツに捨てられる。


 ……身体以外に、あたしはナツを縛れるものがないのだから。その身体だって、大したものではないだろう。何度も繋がり鮮度がなくなれば、きっとあたしの興味はなくなってしまう――。


 そう思ったら、ナツのモノがあたしのナカに入っているのが、別れのカウントダウンのように思えて、あたしは……性交痛を感じるようになってしまった。


 交わることでナツが離れるのなら、交わらずにいることでナツとの別離の時を引き延ばそうとする、あたしの心の抵抗だということは自分でわかったけれど。



「……しーちゃん?」



 ナツは真っ先に異変を感じた。



「痛そうだね……。ちょっと休もうか。僕、飛ばしすぎて……そうだよね、気づけずにごめん」


 その時についたため息は、どんな感情から出たものなの?


 面倒臭いとか?

 興味を失ったとか?


「いい、いいからナツ、しよ? ねぇ、出て行かないで」


 あたしは目に涙を溜めて、必死に起き上がるナツの手を掴んで懇願する。



「しーちゃん……?」


「ナツ、もっと、ねぇまだナツ満足してないんでしょう? だから……」


 するとナツは薄く笑って、あたしの前髪を手で掻き上げた。


「僕のことを気にするなんて、君は余裕だね。なんだか、悔しいよ」


 その瞳に浮かんだのは、侮蔑? 怒り?


「ごめん、そういう意味じゃなくて……」


 ナツの本心が見えないあたしは、重い女にっていく。

 ナツが離れぬような、重い枷となる。


 しかし――。



「しーちゃん、まずはおやすみ。無理させすぎたから、ちょっと気が昂ぶっているみたいだ」


 ナツはあたしをひとり残して、部屋から出て行く。

 腰が砕けたあたしは、おいかけられない。


 もしもこの間にナツがいなくなったら。

 そう思うのに、瞼が重くなり……、眠ってしまった。



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