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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
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閉ざされた視界の代わりに、鋭敏となった嗅覚が甘い花の匂いを運ぶ。
両手と両足を動かせば、じゃらりと鎖の音がして、一定の範囲でぴんと張った鎖に引っ張られる感覚がして、動けなくなる。
「ねぇ、ナツ。これなに? ここどこ?」
担がれる最中、当て身を食らわされて、気づけばこんな状態で。
ナツがいる気配は感じるのに、ナツからの声がないことが不安で仕方が無い。ひんやりとした空気がさらに凍えた気がする。
「ナツ、ねぇナツ。返事して!!」
がちゃがちゃと鎖の音をたてれば、衣擦れの音も重なった。
なにか服を着せて貰えてはいるらしいが、裸になっているかのように肌寒く感じるのは、ナツの返事がないくて不安だからだろう。
「ナツってば!!」
やがて――。
ギシ……と、軋んだ音がして、あたしが座っている部分が僅かに揺れたと思うと、後ろから突如現れた熱に、冷えた身体が包まれた。
鼻に漂うのは、嗅ぎ慣れた…魅惑的な"男"の香り――。
「僕しか考えられないようにしてあげる」
首筋に顔を埋められ、熱い息が落とされる耳もとで、甘い声が囁かれた。