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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「好きだよ、しーちゃん……」
僕は笑った。
しーちゃんが好きだといってくれた笑顔に、この想いを託して。
「これから君は、心から君を愛する人と結ばれるだろう。僕は君に辛い思いばかりさせてしまったけれど、どうかこれだけは誤解しないで欲しい。
僕達は7人、本気で君が好きだった――」
笑え、笑え、笑え。
気持ちよく別れるために。
傷つけてしまった人に、せめて最期くらいは。
「外ではきっとサクラが、君が出てくるまで待っているはずだ。そしてきっと、ハル兄も駆け付けるだろう。
サクラに従えば、君は森から出られる。今まで具体的なところまでは確認したことはないけれど、サクラは、森の結界を破る術があるからここに出入りしている。
君はひとりじゃない。君には、君を必要として守ってくれる人達がいる」
そう僕の代わりは、他にいる。
君にとって僕は、唯一無二の存在ではなく、僕以上の素晴らしい男達は、君が欲しいと待っている。
君の愛のために、すべてを惜しげ無く捧げるだろう。
「だから――」
目の前のしーちゃんは、
「それは、ナツじゃないの?」
僕の言葉を遮ると、はらり、と涙を零した。
はらはら、はらはら。
それはまるできらきら輝く光の雫のように、儚く…しかし存在感を持って、僕の心に目映く反射する。
「ナツは、あたしを必要として、あたしを守ってはくれないの?」
どうして……そんな顔で、そんな声で。
お願いだ、そんなに切に訴えてこないで。
勘違いしそうになる。
自惚れてしまいたくなる。
他の誰より僕を望まれているなどと。
「小人の時からその目であたしを縛り付けて、今も一方的にあたし快楽を与え続けて。好きだ愛しているといいながら、縛るほど求めるのは身体だけで、ねぇ、ナツはあたしの心が欲しくはないの?」
ありもしない、だけど僕が幼い頃から夢見続けてきた妄想を。