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【SS】目が覚めたら…?
第27章 【ファン感謝】白雪姫 ②小人(ナツ)
「ナツ!!!」
少女が泣きながら、起き上がる男に抱きついて。
後ろでその兄と友が、目頭を押えて横を向く。
「ナツ、助かったのよ。呪いはなくなったの!」
「ハ○ホーハイ○ー、しーちゃんが好き」
6人の小人の想いを胸に、7人目にして唯一無二の存在となった男は、ようやく状況が理解出来たのか、愛おしげに微笑みながら少女を抱きしめる。
「長い、夢を見ていたようだ……」
「あたしを好きなら、ひとりで逝こうとしないでよ!! あたしを夢にしないで。離さないでよ!」
ポカポカ胸板を叩く少女に、彼は言った。
「……離さない、もう絶対離すものかっ!!
本当の死が、ふたりをわかつ時でも――」
「ナツ……!!」
交わした口づけは、互いの涙で濡れてどこか塩っぽく。
唇が離れると吸い寄せられるようにして、何度も口づけあう。
「あ~、俺達もいるんだが」
「コホン、コホン……」
目を合わせられないでいるのは、少女を今もなお愛する男達。
その男達に向けて、目覚めた男は神妙な顔をして頭を垂れた。
「ハル兄、サクラ――。
僕は、しーちゃんに貰われていいですか?」
ふたりの男は顔を見合わせ、そして眩しいばかりの笑顔で言った。
「「勿論!! いい花嫁になれよ!!」」
「しーちゃん、僕を……貰ってくれますか?」
「勿論よ。あたしの可愛い花嫁さん」
「ハ○ホーハイ○ー、しーちゃんが好き」
誰も気づかない。
陽気な歌を歌う可愛い6人の小人の笑い声を。
「また会おうね、パパ。ママ」
目が覚めたら――。
きっとそこには、たくさんの愛に満ちあふれている。
たくさんの想いを抱えて、喜びの先に行き着くのは……ハッピーエンド。
【ナツ編 完】