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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
③離れへ【王子モモVer.】
「さあ、行こう!!」
新しい世界に一歩足を進めた……その時だった。
「出て行っては駄目だ!!」
突如投げられた澄んだ声と共に、後方から腕をぐいと引かれて、あたしの身体が傾いた。
「まだ"その時"じゃない!!」
ぽすん、と大きな身体に包まれる。
見上げれば――。
目に入ったのはさらりとした艶やかな黒い前髪の隙間から覗く、きらりと光る眼鏡。
その奥から、刃のように鋭い光を放つ黒い瞳がこちらを見ていた。
恐い――。
それが彼に対して思った、第一印象。
よく見ればかなり整っている顔立ちだけに、まるで精巧に出来たな氷細工のような無機的なものを感じてしまうのだ。
冷ややかな美貌以上に、非情にも思えるこの寒々しい視線が、あたしの身体から体温を奪い、恐怖という感情を作り出す。
「ようやく捕まえられた!!」
興奮したようなその言葉に、思わずぞくりとした。
捕まえる?
見慣れない、この美貌の若い男は、もしやお母様の――。