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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)

だからあたしの手は、あたしの指は、サクラに見せつけるように、卑猥に動いていく。
慣れてないからぎこちなく動く指先だけれど、自由に動けるようになったおかげで、大胆に振る舞うことが出来るから。
「くふ……んんっ……」
花弁を割ったあたしの指は、熱く潤う花園を前後に擦るだけではなく、やがて円を描くような動きに変わる。気持ちいいと思える場所を一点にぐりぐりと刺激しているつもりなのに、サクラがしてくれたような快感が生じない。
こんなに蜜は溢れているのに、喘ぎ声も漏れるのに、気持ちいいと満たされた心地にならない。
気持ちはいいけれど、空しさだけが募る――。
あたしが気持ちいいと思うのは、"男"のサクラを傍に感じていたからだ。
自慰の時だって、サクラとのことを思い出してドキドキしていたから。
今、サクラが熱い目をしてあたしを見てくれていたのなら、あたしの身体も燃え上がり、すぐに意識を飛ばしてしまうほど気持ちよくなっていただろう。
だけどサクラの目は、あたしを蔑視しているように冷たい。
サクラ、まだ駄目?
こんなになっている理由は、伝わらないの?
サクラの眼差しは冷たいまま――。
あたしの息は荒くなるのに、サクラの息は感じない。
あいた距離が、無限の隔たりがあるように思えた。
ああ、どんなにサクラを意識した身体を見せても、特別だからここまで見せられる覚悟を披露しても、サクラにとっては本当に"ひとり遊び"なんだと思ったら哀しくて涙が頬を伝わった。
だけどサクラが欲しいから。
泣きながら笑い、目を瞑る。
目を瞑れば、サクラがあの燃えるような目であたしを見つめてくれていると、勝手に妄想できるから。サクラの息遣いを勝手に感じることが出来るから。
想像のサクラの方が……優しいや。

