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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)

「ふぇ……」
漏れる泣き声を、強張った笑顔で掻き消した。
噛みしめた唇の震えがとまらない……。
「目を開いて。俺を見て」
そんな時にかけられたその言葉。
現実の……冷ややかな目をしたサクラと視線を絡ませて、その温度差に泣きたくなったけれど、あたしは無理矢理微笑みかけて手を動かした。
クチュクチュという淫らな音。
ぬかるみをかき混ぜるだけの拙い指の動きではあるけれど、サクラが見てくれるから、それだけで満足しようと思った。
あたしの指はサクラの指……。
この動きは、サクラの……。
「ひゃあああんっ」
仰け反ってしまうくらい気持ちよくなってしまい、あたしは息を切らせながらもサクラを見つめたまま、喘いだ。
見ていて欲しい。
サクラを求めて、乱れる……はしたない姫の姿を。
「サクラ、サクラ、気持ち……いい。サクラああ……」
泣きながらよがるあたしは、異常なのだろうか。
……キテ。
「サクラ、あああ、そこ、ああああ、サクラあああ」
こんな姿を見せつける女は、娼婦以下の賤しい女なのだろうか。
アタシノトコロニキテ。
それでも、わかって欲しい。
他の男にはこんな姿を見せない。
これほどまでにサクラを求めている。
上り詰めながら、あたしはサクラに手を伸ばした。
身体をびくびくさせて喘ぎながら、サクラの名前を呼び続けた。
アタシヲムシシナイデ。
サクラ。
サクラ。
「あ、ああああっ、モ、モモ。モモ――っ」
果てる直前、あたしの秘部から手を離したのはサクラだった。
サクラの名を呼んで達するのは、サクラにとって醜いものだったのだろうか。
イキたいのに。
せめてサクラの前で、快楽を感じている姿を見せたかったのに……。
「それほどあたしが嫌い!?」
触れたあたしの指先は、サクラの手の中。
サクラの冷ややかな目に見下ろされる。

