この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)

いつもの自由奔放な姿とはまるで違う、落ち着いて威厳のある……、そう、将来性を感じさせるその優雅な物腰は、王族としてのオーラを十分すぎるほどに放って、ひたすらに眩しかった。
ハルさんは、俺が垣間見ていた「叡智」だけではなく、次期王として、ここまで素晴らしい器を隠し持っていたのか。
否とは言わさぬその迫力、その美貌。
その場の誰もが、見惚れて…あるいは圧倒されて、呼吸をしていなかったと思う。
自らの意志で、姫が欲しいと動いたハルさん。
ただ周りに流された環境で、姫が手に入ると思う俺。
同じに姫への愛があっても、その愛の手に入れ方はまるで違う。
俺とハルさん、どちらが魅力的な男気に溢れているかなど、一目瞭然だろう。
俺が姫なら、間違いなくハルさんの妻になりたいと思う。
ハルさんは次期国王としても、ただひとりの男としても、彼が守ろうとする人々の世界を拡げる力がある。拡げられると信じさせるカリスマがある。
だが、そんなハルさんを拒んだのは、国王だった。
――認めない理由を言わないくせに、遠回しに拒絶ばかり。
自嘲気に笑うハルさん。彼から弱気な光を見出した俺が、ハルさんに対する同情とこれで諦めてくれるだろうという安堵に密やかに息をついた時、
――理由でもいってくれれば、こっちも攻略しやすいものを…。これならば何度でも全力でぶちあたって、本音を聞き出すしかねぇな。
彼は不敵な笑みを見せたんだ。
――誰が諦めるか。こちらは元から長期戦覚悟。こうなりゃ俺がよぼよぼじじいになっても、求婚し続けてやる。まったく、とんだ女に惚れちまったな。だけどま、そんな人生も面白いじゃねぇか。
その目には、確固とした戦意が宿っていた。
その宣言通り、挫けず何度もハルさんは求婚し続けた。
それほどまでに、姫を渇望しているハルさん。
どんな女をも選べる立場にいながら、それでもシズル姫だけをただひとり想い続けているハルさん。
きっと、姫の許婚の相手がハルさんにとって変わるのも近いだろう。
ナツもそれを予感している――。

