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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
  
 拒めばいいのに。

 姫を丁重に扱わず、こんな娼婦のような格好をさせている俺を。


 コバマレタクナイ。

 俺の愛も欲も押さえがきかないがゆえということがわからない姫は、無礼者だと悠然と突き飛ばしていいのに…。

 キラワレタクナイ。


「……気持ち……ぃぃ……」


 そうすれば俺は姫から離れられるのに。


 ……ああ、これもまた言い訳だ。

 姫のせいにして、俺が姫を渇望して離せないだけの話。


 ヒメトハナレタクナイ、モットツヨクモトメアイタイ。


 嫋やかな身体に触れれば触れるほどに愛おしさが増して苦しくなる。

 理性なんて吹き飛ばしてしまうほどの、熱情が溢れてとまらない。


 最後だからと、大空の元でふたりで上り詰めたのに。

 最後にならない今、引き摺る未練が苦しくて。

 断ち切れない女々しさに反吐が出そうで。


 ああ、姫と肌を合わせすぎたのかも知れない。

 愛おしさを引き摺るだけのこんな感傷、辛いだけなのに。

 切り捨てねばならない姫への温もりが、独占したい恋慕に成り代わる。


 永遠に、俺のものにしたい――、あってはならぬ独占欲が渦巻くんだ。


 ここで姫を貫いて、ここで完全に完全に俺の女にしてしまって。

 誰にも気づかれないところで、姫と暮らすことが出来たら。

 昔から望んでいた夢を、叶えることが出来たら――。


 だが……夢は、所詮夢なんだ。


 ハルさんの苦痛を見ただろう?

 ナツの苦痛を見ただろう?
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