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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)


 今さら、誰にも言えない。言いたくもない。

 だが知ってしまったからは、この恋心を完全に消さないといけない。


 ハルさんのためではなく、姫のために。

 
 俺と姫は、結ばれてはいけない運命だった。


 だから姫、俺は苦しくてあなたを求めて自慰をしていた。

 求めてやまない、あなたを恋慕って――。


 断ち切らないといけない恋の未練。

 だからこそ一刻も早く、どうしてもハルさんに託さねばならなかった。

 ナツの身代わりとしてでも、薔薇園存続のためにも、恐らく……俺が王妃と繋がることができれば、話は簡単だった。

 だがそれが出来ず、"それ"を王妃に隠すために手淫やら口淫やらで誤魔化した結果、王妃に気に入られて頻繁に呼び出しを食らう羽目になった。


 薔薇園を生かすためには、どうしても王妃の力が必要だった。それはナツのいる森にも通じてはいるが、王妃は力を注ぐのに内部には感知できないらしく、そして俺は……、特殊な力があるせいなのか、王妃の魔力が効きにくい体質だったらしい。ナツのいる森も、薔薇園にも……自由に出入り出来た。

 薔薇園にかけられている力に、姫がいることに気づかれずに弾かれないのは、恐らく血のなせる技なのだろう。


 俺は、すべてをあるべきところに戻したいんだ。

 それが叶うのは明日。


 だから――。


「サクラ、サクラっ、顔を見せて……っ、メガネを……とって?」

「必要ありません」

「はっはっ、サクラ、イキそうなの……っ、大きいの……キそうなの。だからサクラ、ねぇ、薔薇園での時みたいに唇を……」

「必要ありません」


「サクラ、ねぇ……怒ってるの? あたしが外出を邪魔したから?」

「怒ってません」


 果てが近いせいなのか、唇から指を引き抜いた途端になにやら姫が騒ぎ出す。

 
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