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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)

ひとつ言い訳をするのなら――。
こんなはずじゃなかった。
この国の最低職種である猟師となり、王妃の犬となって人を殺し続けねばならなくなったハルさん。
王妃の玩具からせっかく俺が救い出したはずなのに、王妃に解けぬ呪いをかけられて、7つの幼児体に分裂させられ、王妃の魔力で作られた森でしか生きられないナツ。
――サクラ。俺は全力でナツの呪いを解く。だからそれまでは、お前がシズを守ってやってくれ。お前しか、頼れる奴はいないんだ。
俺が姫を助けるために必要なのは、大公の力を削ぐために人質として残留を強いられた――名ばかりの王子の力ではなく、この国で自由が認められるだけの、対外的な力だった。
そのために大公をけしかけ、この国に牙を向けていた国々と同盟を結ばせたことにより、傀儡のはずの隣国はこの国の脅威となり、王妃はその王子である俺をぞんざいに扱うことが出来なくなった。
そして俺は、王妃が姫に目を向けぬよう、この国の美男子ばかりを集めて王妃の相手をさせ、王妃の美貌を褒め称えさせた。自尊心強い王妃は、淫魔の血が目覚めたのか……享楽にふけた。
俺の誤算はふたつ。
姫があまりにも美しく成長して、王妃よりも男の目を惹き付けるようになってしまったこと。
そして、薔薇園存続のためになされた条件が、俺にとって……あまりにも予定外の慄然とした真実をもたらしたことだった。

