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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ?
10月30日――。
あたしが眠る12年前にはなかった、「ハロウィン」祭の前日。
31日にナツがあたしのためにハロウィンパーティを開いてくれるそうで、30日の今日、朝から近くのスーパーの朝市『持てるだけ持ってけ泥棒! カボチャ大売り出し! なんと参加者ひとりにつき100円ぽっきり!』の大目玉商品に、佐伯一家は買い出しに行った。
そして小一時間後、開けられた玄関の横幅ぎりぎりに、大きなカボチャが押し込まれるようにして入ってきた。
その大きさに思わずあたしは仰け反る。確かに持てるならば100円なのだろうこのカボチャを、本当にもって帰れるひとがいるなんて。
この前に皆で訪れたファミリーレストランの前にあった、『重さあてクイズ』のカボチャより遙かに大きい。
「ふぅ~、シズルちゃんただいま! 大きいでしょ、持って帰るのさすがにちょっと大変だったわ~」
カボチャの後ろから聞こえるのは佐伯母。
まさかこのカボチャを佐伯母が持ち帰ったというのか。いやまあ、未知数な佐伯母なら出来るかも知れない。
「ちょっとそこに置くから端にいてね。よいしょ~っと」
玄関にそのカボチャが置かれた時、みしりと佐伯家の家が悲鳴をあげた気がしたけれど、
「ではでは、台所へ運びまーす。どれどれ……きゃは、回る回る! 真ん丸の選んでよかったわ~」
家事情などお構いなしに、運動会の玉転がしのようにカボチャを横にしてゴロゴロ転がすおばさまは、こんな大きなカボチャよりやはり今日も目立たなく、そこにいるだろうという直感と、目を窄めてようやく輪郭がわかる。普通に見ていれば、カボチャがひとりでに動き出したようでびっくりだ。