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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ? 
 

「しーちゃんただいま」
 

 ナツもハル兄も、はちきれんばかりの買い物袋に詰められたカボチャを両手でふたつずつもっている。それをひとつナツから受け取れば、重すぎて持ち上げられない。10㎏のコメよりあまりに重すぎる。


「無理しないでしーちゃん。僕達で朝市カボチャの大半買い占めてきちゃった。こういう時は、素早く動く母さんが大活躍だよ」

 佐伯母、やはの忍者の如く活躍か。

 靴を脱いだナツが笑顔で、あたしが両腕をぷるぷるさせても持ち上がらない袋を、片手でひょいと持ち上げた。


 あたしが筋力なさすぎなのか、それともナツが異常なのか。

 ナツより筋肉がありそうに思えるハル兄は、靴を脱がずにいた。

 そして――、
 

「おう、悪いが親父。俺の代わりにナツが言う処にカボチャ置いてくれ。俺今日休みなのに病院から呼び出し食らって、インフルで伸びた医者の代わりだとさ。昼間外来、夜病棟だ。明日どうなるかわからねぇけど、出来るだけ帰ってこれるように努力する。悪いなナツ、手伝えなくて」

「ううん、お買い物手伝ってくれてありがとう、すごく助かったよ波瑠兄。明日皆でパーティーできるように、僕お祈りしているから。休日返上が、報われますように」

「ああ、兄は頑張ってくる」


 ああ、麗しき兄弟愛にほろり。


「シズ、ハロウィン楽しめよ」


 ハル兄は、本当にちょっぴりだけ優しい。不意打ちの笑顔見せられて、ドキドキしているあたしの後ろで、突然声がした。


「気をつけてな」


 さらには、ハル兄が手渡した袋がひとりでに下に沈みながら宙に浮き、そこにひとがいることを知ったあたしは、驚きのあまりその場で飛び跳ねた。


「うわ、おじさんいたんですか!? え、なんで後ろから……おばさまと中に入られてたんですか!?」

「しくしく……、私は力がないから戦力にならないと、シズルちゃんと一緒に茶の間でお留守番していたじゃないか。シズルちゃんは夢中になってハロウィンの本を読んでいただろう? その隣で新聞読んでいたんだが……」


 あたしの隣? はて?


「本気に気づかなかったとか? しくしく…」

「い……イエイエ、バッチリキヅイテイマシタ」


 おじさま、ごめんなさい。

 1時間あまり、全然気づきませんでした。



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