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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ?
服を着替え終わったあと、
「え、もう診察は終わってたの!?」
「当然。処理をして帰るところだったんだ。だからナースがいないだろう」
そう言われれば。
ちらりと奥を覗いたが、ドアが閉められていた。
「あれ、あたしが入ってきたところも。鍵がないのに閉まってる。なに診察室って密室なの?」
「違うこれは、珍しい非常用形態だ」
「なにそれ?」
「お前、伝染がどうの騒いだだろうが。だからお前は保菌者(キャリア)として、厳戒態勢になったんだ。外に菌が漏れないように」
「えええ!? だったらどう出るの!?」
「壁の点滅しているパネル操作すれば大丈夫。しかし、こんな状態になるの、俺医者になって始めてだぞ? ああ、ちょっと電話いれとくか」
そしてハル兄は、あのナースを電話口に出して、リュハキエシャはもう全快していることを告げ、ひとまずあたしは、キャリアとして隔離されることはなくなった。
「密室状態だったとはいえ、声が漏れたんじゃ…」
今さらながら、待合が多い外を思い出して青くなる。
ドアが開いても、ここから出られないじゃないか。
「ああ、ここは防音だ。元々ここが小児科で、小児科は泣き出す子供が多く、それを聞いた外に居る子供がまた泣き出すから、防音なんだこの病院は。まあお前のイク声が子供の泣き声より上であれば、聞かれているだろうが……」
ハル兄はにやりと笑ってあたしを見た。
「俺が、お前の声を外に聴かせるはずないだろう?」
安心して脱力してしまった。
「ああもう…ハル兄は今日は帰ってこないってナツから聞いたから、こんなカボチャかぶってきたのに……」
「あ? お前が来る一時間ぐらい前にもう帰るとナツに連絡いれたぞ」
「え? そのナツがハル兄は今日帰ってこないからと……」
つまりそれは――、
「ナツからの……」
「ハロウィン?」
それはお菓子なのか、あたしなのか、わからないけれど。
家に帰るひと足先の、弟から頑張っている兄へのHappy Halloween。