この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
溺れる
第5章 手術
今日、ママの手術がある。
瑠花は、学校を休みたかったが、お姉ちゃんに怒られた。
「学校終わった頃に、賢司さんが迎えに行くから。」
「うん。」
学校が終わり、門を見ると、賢司の車が停まってた。
急いで車に乗り込んで、病院に向かう。
手術は、無事に終わり、今、集中治療室に入ったらしい。
「お姉ちゃん。ママは?」
「学校、行けた?」
「うん。ママ大丈夫?」
「手術も終わったから、意識が戻れば、会えるわ。」
「桃花?大丈夫か?」
「うん。大丈夫よ。」
私は、怖くなって、お姉ちゃんに抱きついた。
「ねぇ、賢司さん。意識が戻るまでは、長いから、瑠花と家で待っててくれるかしら?瑠花は、まだ子供だから、徹夜は可哀想だから。」
「あぁ。携帯に電話してくれるか?」
「えぇ。わかったわ。じゃ、瑠花。賢司さんの言うこと聞いて、大人しく待ってて。お母さん、きっと元気になるから。」
「うん。」
瑠花は、賢司に連れられ、戻っていく。
「さて、行くか。」
「うん。ママ大丈夫?」
「珍しいね。瑠花が、俺に聞くなんて。」
「怖いもん。ママ、パパみたいに、死なないよね?」
「大丈夫だって。医者が言ったんだろ?」
「ねぇ、うち、こっちじゃないよ?」
「うん。」
「ねぇ、どこ行くの?」
「うん。ホテル。病院の近くにあったからさ。家に戻るよりは、近いよ。」
ホテルの中に入ると、賢司が、ベッドに座った。
「おいで。」
瑠花は、隣に座った。
賢司は、瑠花を膝に座らせた。抱き締めながら、
「怖いか?」
って、聞いてきた。
「うん。」
「だろうな。」
「俺の親父も瑠花と同じ年に死んだよ。自殺だったけどな。」
「自殺?」
「あぁ。瑠花は、これから、いっぱい楽しむ事も悲しむ事も経験してく。」
「うん。」
「乗り越えなきゃいけない時もある。」
「うん。」
「お義母さんだって、頑張ってる。だからさ、瑠花。お前も、お義母さんに心配かけないようにしないと。」
「うん。」
「だからさ、泣くな。」
瑠花は、知らない間に、泣いていたらしい。
賢司は、泣いてる子を落ち着かせるように、瑠花の背中を軽く叩いていた。