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衝動[完]
第3章 すれ違い
「え?何?何言ってるの?」
弥生はピタリと足を止め、聞き取れなかったかのように聞き返した。
「『頭が痛い』とか『お腹が痛い』とか、理由をつけて来るのもナシ。ベッドで横になりたかったら早く帰って家で寝なさい。わかった?」
真っ直ぐ自分を見据える祐に戸惑いながら、弥生は首を振る。
「で、でも……でも私、ここで、祐先生の居るここで眠るとすごく落ち着くって言うか……安心するって言うか……完全下校の時間までだから……だから……。」
「ダメ。」
有無を言わさぬ祐の答え。
選択権は無いのだと、その目は語っていた。
「お前自分で言ったでしょ?『学園長になる』って―――。そんな風に甘えてちゃダメでしょ?早く帰って勉強して、ちゃんと寝なさい。いいね?」
「わかった……っ。」
思考の止まってしまった頭ではそう答えるしか無かった。
弥生は、再び書類に目を通し始めた祐を悲しそうに見つめてから、静かに保健室を出て行った。