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衝動[完]
第5章 思い
少しウトウトとしただろうか。
弥生は微かな音に目を覚ました。
何の音だったんだろう?
ガチャリと玄関のドアが開く音がして、先刻の音が呼び鈴の音だったのだとわかる。
玄関で靴を脱ぐ気配。
ヒタヒタと歩く音がする。
玄関、カギ閉めなかった?
誰?
泥棒?
家に来たって何にも無いよ。
「弥生。」
襖が開くのと同時に声がした。
けれど頭が重くてそちらを向くことが出来ない。
「弥生、大丈夫か?」
自分の横に座り、覗き込んで来る人物を見て、弥生の双眸から涙が溢れた。
「祐せんせ……。」
「ごめんな、もっと早く来てやりたかったんだけど、先刻の子を病院に連れて行ってたから……。」
祐は持って来た体温計で熱を測りながら、弥生の胸に聴診器を当てる。